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東京地方裁判所 昭和37年(ワ)5709号 判決

原告

田島昌夫

代理人

久保田昭夫

東城守一

小池貞夫

山本博

舎川昭三

被告

時事通信社

労働組合

右代表者

中央執行委員長

熊沢弘雄

代理人

加藤康夫

内藤義憲

主文

原告が被告組合の組合員であることを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実《省略》

理由

一、当事者間に争いのない事実

(一)  原告が昭和一六年三月東京大学文学部を卒業し、同年四月社団法人同盟通信社に入社し、同二〇年会社創立と同時にこれに勧務することになり現在に至つていること、原告は昭和二一年全日本新聞通信放送労働組合の結成に際してその組合員となり、その後同組合が解散し、全国新聞労働組合が生まれるとこれに参加して同組合の時事通信支部に所属したこと、昭和二八年一〇月同組合の右支部が解散したことに伴い、組合に加入したこと、現在組合は原告を組合員として扱わないこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

(二)  組合には、昭和三六、七年当時被告主張の規約が存したこと、組合の中央執行委員会が組合員である原告に対し統制違反の疑があるものと認め、組合規約第六一条にもとづき調査委員会を設置したこと(〈証拠〉によれば、右設置の日は昭和三七年三月一三日と認められる。)、同委員会はその調査結果を中央執行委員会に報告したこと(その報告の日は、〈証拠〉によれば、同年四月五日と認められる。)、昭和三七年四月七日組合中央委員会において中央執行委員会側が右調査委員会の調査結果を報告し、原告がその席上弁明したこと、投票の結果、被告主張の票数となり、中央委員会は原告除名の決議をしたこと、原告が右除名を不服として組合規約に従い大会に上告したが、被告主張の経過で同年五月一二日大会においても原告除名の決議がなされ、中央執行委員会がその頃原告に対しその旨の通知をしたこと、組合の原告除名の理由は原告に被告主張の三点にわたる組合規約に定める除名事由に該当する事実があるというにあつたこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

なお〈証拠〉によれば、被告組合の昭和三六、七年当時の組合規約の全文は別紙のとおりであることが認められる。

二、関東支局支部設立の経緯

そこで次に被告の主張する原告の除名事由の存否につき順次検討するに、本件除名理由の核心をなすのは組合の旧関東支部資産を原告が支部執行部へ引き継がなかつたというにあるので先づこの引き継ぎの前提となる旧関東支部をめぐる組織問題から判断する。

〈証拠〉を綜合すると以下(一)(二)(三)の事実が認められる。

(一)  被告組合は、昭和二五年一〇月いわゆるレツドバージが行われたのを機に、全国新聞労働組合時事通信支部から分裂して結成されたものであるが、その綱領として政治闘争を排し経済闘争を主とすること、外部勢力の介入を排除することを掲げているものである。原告はかねてより前記労組時事通信支部に加入していたところ、昭和二八年一〇月同支部が解散したのでその頃被告組合に加入した(この点は当事者間に争いがない)。そして昭和三〇年九月には本社の組合員で構成していた組合東京支部が関東地区各支部の組合員を併せて関東支部に改組されたが、この際原告は同支部書記長に選任され、更に昭和三五年五月以降同支部委員長をつとめた(原告が同支部委員長であつたことは争いがない。)。

(二)  ところで東京支部が関東支部に改組されて以来の同支部の諸活動に対し支部組合員の中から批判が出されるようになつた。即ち昭和三四年秋ごろのいわゆる日比谷共闘参加問題(関東支部が日比谷周辺の新聞、放送関係の労働組合の横の連絡組織に加入した問題)、昭和三五年秋の同支部の浅沼刺殺抗議行動への参加問題や、同支部執行部が会社永田業務局次長の発言を不当労働行為としたことに関し、同支部の活動は前記組合綱領に反し闘争至上主義ともいうべきものであるとして、会社の社報、組合本部機関紙「みらい」関東支部機関紙「花のわ」等に次のような支部批判文が掲載された。

(ⅰ) 昭和三五年七月一一日付会社々報で新潟支局職員一同らが永田業務局次長の不当労働行為問題で関東支部のとつた態度を批判した。

(ⅱ) 昭和三五年一一月一五日付組合中央機関紙「みらい」で、当時起つた浅沼稲次郎刺殺事件に対する抗議行動に関東支部が組織として参加したことについて同支部内の甲府班、長野班、前橋班の各班が批判した。

(ⅲ) 昭和三五年一二月二八日付関東支部機関紙「花のわ」で本社の前島千代一、吉水秀岳、浅野健が右抗議行動への参加は組合の綱領に違反するとして支部執行部に反省を求めたほか、本社業務班、前橋班らがそれぞれ支部執行部の方針を批判した。

このような批判の動きの中で、昭和三六年二月に発行された組合本部ニユース二八号で前橋班は新しく関東支局の各組合員をもつて関東支局支部を設けることを提案した。更に同年四月一日付「みらい」で五支局班からの同旨の要望が掲載されたほか、本社業務班からより具体的に同年四月二二日開催の全国大会に提案すべき本部組合規約の改正案、即ち、関東支部を改組して、関東各支局勤務の組合員のみをもつて関東支局支部を構成することとし、関東支部内の本社班は本部直轄とする案が発表された。又右の全国大会の各代議員に配布された全国大会資料にも右規約改正案が掲載された。

(三)  一方、右全国大会に先立ち、同年四月一五日開催された関東支部大会では代議員蜷川道夫が同支部の運動方針案として関東支部の一組織である本社各班を同支部の組織から切り離して組合本部の一組織にするよう全国大会へ要請することを提案した。同支部大会ではこの提案に同調する代議員と、これに反対し、蜷川提案は単なる運動方針案ではなく関東支部規約の改正案であるから定数の三分の二以上の賛成を要する旨主張するものにわかれたが、反対する代議員が途中退場したため結局この運動方針案は賛成多数で可決された。

しかし支部執行部としては、このような関東支部改組案はあくまでも支部規約上の問題として処理すべきもので、これを運動方針案という形で可決したのは支部規約に反するとの態度をとり、同年四月一九日付関東支部ニユースでもそのような立場から大会報告を行つた。

続いて同年四月二二日から神奈川県湯河原で開催された全国大会の第二日目に前記組合規約改正案が本部から提案され討議が行われたが、この中で本部執行部とこれに反する一部代議員との間で厳しい討論質疑が繰りひろげられた。しかし、この改正案に反対する代議員が退場するうちに審議打切り案が提案可決され、ついで規約改正案も可決された。そして新しい本部規約では規約別表の「関東支部」が削除され、新しく本社直轄支局地域(関東地区各支局)を管轄する関東支局支部が挿入された他、第一三条に本社の部室におく班は本部直轄とするとの文言が加えられた。この結果旧関東支部組合員中関東各支部勤務の組合員は関東支局支部を構成し本社に属する組合員は組合本部に属することとなつた。

このように本部執行部提案の規約改正が可決されたので、旧関東支部委員長である原告は、席上「支部執行委員会としてはこの採決が無効なものであることを留保するが、組合内の混乱、分裂を避けるため事実問題としては支部を解体する方向で事態を処理すべく、本大会後支部執行委員会として行わなければならない任務をすませ、その上で支部執行委員会を残務整理委員会に切りかえて財産処理その他の拠務を処理し、新しく選出される本部執行部に引継ぐが、なお執行委員会としての任務は臨時支部大会を開くかどうかの問題もありはつきりしないが、ほぼ一週間ないし一〇日位で果しうるのではないかと思う。」旨発言し、大会の了承を得た。

三、本部執行部の旧関東支部執行部に対する資産引き継ぎ要求と組合中央委員会の引き継ぎ要求決議。

〈証拠〉によれば、次の(一)ないしの事実が認められる。

(一)  右全国大会後、関東支部の改組それ自体とその方法につき疑念をもつていた旧関東支部執行部は、同年五月二二日組合本部に対し、(1)支部廃止の意味、(2)これまで支部の行つてきた組合業務の関係、(3)支部資産の処理、(4)本社班組合員の組合費関係について質問し、その中で支部資産については支部組合員であつたものの総意によつて決めるべきではないかとただしたのに対し、本部執行部は同月二七日それぞれ回答したが、このうち支部資産については、関東支局支部執行部が関東支部組合員であつたものを含めて、支部組合員の総意を汲んで決めるのがよいと考える旨述べた。

これらの経緯を経て、同年六月二三日旧関東支部執行部は総辞職することを決め、同月二九日本部執行部にこのことを通知した。その際、支部執行部は総辞職声明を発し、支部資産の関係についても言及したが、その中で支部資産の引き継ぎについては、これが支部の資産であつて支部執行部の私有財産でない以上、その処理については支部大会を開かねばならないが、本部執行部がこれを認めない以上、旧関東支部の資産業務の引き継ぎを支部執行部としては行わない旨の見解を明らかにした。

(二)  一方前記組合規約の改正により新しく誕生した関東支局支部(支局員約四〇名)は七月二日に初の大会を前橋で開き、旧関東支部支局班の資産を本部執行部の管理に移すこと並びに右資産の具体的な処分方法については関東支局支部組合員の意向を十分ただした上、次期全国大会で組合規約を整備して決定する旨決議したが、同時に深見代議員より、旧関東支部の資産は旧本社班のものと旧支局班のものとに分割することが不可能であるから、本部は全国大会で慎重に処分方法を決められたい旨の発言があり、本部もさしあたつて旧関東支部の資産は本部で管理する旨答弁した。

このような経過の中で本部執行部はかねてより旧関東支部執行部ないしは同支部執行委員長であつた原告に対し、関東支部改組に伴う資産の本部への引き継ぎを要求していたが、同年八月二三日に本部は重ねて旧関東支部執行部に対しその資産の引き継ぎを要求した。これに対し原告は右要求に従い引き継ぎに応ずるが、本来関東支部大会の承認をえないでこれに応ずるのは旧支部組合員に対し一種の背任行為になるとの原告のこの問題についての見解を組合本部紙「みらい」に発表することを条件に本部執行部の要求をのんで引き継ぎに応ずることを約した。

そして原告は同年九月四日右のような見解を原稿にして本部へ提出し、同時に旧関東支部の預金通帳と現金を本部へ引き渡したが、この原稿は同年一〇月一四日付「みらい」に掲載された。

この間、組合本部は旧関東支部が支部大会を開くことは、すでに同支部が改組されて存在しない以上、前記大会での決議や組合規約に反するとして、支部大会の開催を認めないとの態度を一貫してとつてきた。

(三)  原告は同年一〇月二五日組合本部委員長吉永秀岳、同副委員長熊沢弘雄と共に旧関東支部資産である労働金庫への出資金(一五万円)及び預金の本部への引き継ぎ(名義書換え)のため労働金庫新橋支店へ赴いたが、これに先立ち、原告は前記原告の見解が掲載された「みらい」を同支店へ持参して予め原告の立場及びその考えを説明した。

当日同支店では労働金庫側から支店長代理横田二郎、組織係長浅井敏男が出席し、五人で話し合つたが、組合本部側が本件については組合の全国大会で決つたことであり現在では関東支部は存在しないのであるから、すみやかに引き継ぐべきであるとその立場を説明したのに対し、原告はこれ迄本部に対し主張し、又前記「みらい」に掲載した見解を申し述べ、一方労働金庫側は双方の説明をきいた上、この引き継ぎが後日問題となり関東支部委員長の捺印が正当有効かということになると、やはり疑問という結論になり、労働金庫はこれらの事情を知りながらこの名義書き換えに協力する訳にはいかない旨回答した。なお被告は原告が労働金庫新橋支店に対し、同金庫が名義書き換えに応ずるならば同金庫に対し訴を提起すべき旨申し向けた旨主張し、証人熊沢弘雄の証言中にはこの主張に沿う部分もあるが、証人浅井敏男、同横田二郎の各証言に対比して右証言部分は採用できず、他に右事実を認めるに足りを証拠はない。結局労働金庫が右のように引き継ぎに難色を示したこともあつて、原告が引き継ぎのための記名捺印をしなかつたので当日組合本部の目的は達せられなかつた。しかし組合本部ではその後も労働金庫に対しその手続方を要望し、労働金庫側もそれに必要な書類を交付したがなお双方に話合いで円満に解決するよう求めた。又原告もその後何度かこの件についての話合いを組合本部へ申入れたが、本部はこれを拒否し、同年一二月二八日には原告に対し翌三七年一月一〇日を期限として重ねて引き継ぎを要求した。こうして昭和三六年中には遂に双方の話合いによる円満な解決はみられなかつた。

原告は昭和三七年一月一六日右一二月二八日付の組合本部の要求に対し回答し、現在の段階では旧関東支部資産の名義書き換え書類への調印は合法で正当な手続きを経た上でなければ応じられない旨述べた。

一方、労働金庫の横田二郎も組合本部に対し重ねて労働金庫の立場を説明し、組合内部で充分話し合つて処理されたい旨要望した。

(四)  以上のような経緯を経て本部中央委員会は昭和三七年二月一七日旧関東支部資産の引き継ぎが遅滞していることに関し「関東支部大会を経てはじめてその資産が本部に引き継がれるとの見解は組合規約を踏みにじるもので組合員の立場を著るしく逸脱したものである。本部はこの決議にもとづき労働金庫側と充分折衝して本部の行為が正当であることを説明し早急に右事務を完了すべきであり、これにより万一労働金庫側に何らかの迷惑が及ぶときはその責任は組合がとるべきものである。」と決議した。

ただ、右決議をしたのは原告の責任を追及することを第一の目的としたものではなく、組合本部が労働金庫と交渉した結果本部が同金庫側から必らずしも旧関東支部執行委員長の印鑑がなくても本部の言い分を正当づける何らかの機関の証明があれば名義書き替えもできるのではないかと示唆されたものと考えたことから、このような決議を行つたもので、この決議文は労働金庫新橋支店へも伝えられた。しかし、これに対し労働金庫は本部および旧関東支部の双方に対しなお双方で話合つて二週間以内に結論を出すよう要望する旨の書面を送つたが、その後も双方の話合いはできず、引き継ぎには至らなかつた。

四、調査委員の設置とその調査活動〈省略〉

五、原告の行つた中央委員会決議の非難と忌避、告発〈省略〉

七、旧関東支部資産の性格について。

(一)  〈証拠〉を綜合すると次の事実が認められる。

旧関東支部は被告の一下部組織として、本社勤務の組合員(約四〇〇人)並びに関東各支局勤務の組合員(約四〇人)をもつて構成されていたところ、同支部の財政は同支部規約第三八条により組合費、事業収入、寄付金、借入金でまかなうことになつており、このうち主たるものは支部組合員の納入する支部組合費であつた。この支部組合費は本部組合費と別建て(但し、両者の額は同額で、共に賃金の一%)で支部が支部組合員から徴収(徴収はその手続の上では支部が本部の委託を受けて本部費を徴集すると同時に独自に支部費を徴集しているのが通常であつたが、会計上両者はあくまでも別個であつた。)してきた。

そして同支部は支部として独自に支部予算を編成し、且つ独自にそれを執行しており、この点につき支部は全国大会における支部活動報告の中で財政状況について説明する他には格別本部に対して報告することもなく、また支部の財政上の措置で本部から指揮監督をうけたことはなかつた。

ところで労働金庫への出資金、預金についても旧関東支部のそれはすべて同支部の資金から拠出されたもので、本部はこれまた支部とは別に労働金庫に対し出資をしており、その名義はそれぞれ本部名義、支部名義と別々であつた。

(二)  〈証拠〉を綜合すると、次の事実が認められる。

旧関東支部は昭和三四年頃その名において東京地方裁判所に会社を被申請人として団交応諾の仮処分の申請をし、更に昭和三六年四月支部の名において東京都地方労働委員会に会社を相手方として、不当労働行為救済の申立をしたが、その費用はいずれも支部の費用をもつてした。

このような事情を綜合して見ると、組合内においては、支部財産は本部の財産とは別個の目的財産として支部執行委員会の管理の下におかれたものと見るのが相当である。

そして、支部財産は、組合内においては、何よりもまず支部費を支払つた支部員のために支部の活動を通じて支部員の労働条件の向上に資すべき目的のため管理さるべき財産であることは当然である。

もとより企業内組合の一支部が管理する財産のことであるから、管理目的の中には組合員全体のために使用するという目的がないとはいえないであろうが、本部費と支部費を別個に支払つているなどの前述の事情から見ると、右財産を本部又は他の支部のために使用する場合は支部員の多数の同意を要すると考えるのが通常である。従つて支部財産の運営管理の責任者は拠出者である支部員多数の意思に従つてその衝に当ることが要請されており、またそのように行動することが善良な管理者の立場というべきである。

とすれば、原告の旧関東支部資産引き継ぎをめぐる言動については、原告のこのような立場を無視して論ずることはできない。

なお、原告が旧関東支部執行委員長の地位を辞する旨の意思表示をしたことは前認定のとおりであるが、弁論の全趣旨によれば原告は右辞職表明後も除名に至るまで右執行委員長の印を保管していたことと、原告の後任者と目すべき者がいなかつたことが認められるから、原告はその除名まで旧関東支部資産保管の責任者であつたというべきである。

八、除名理由の存否

以上これまで認定した事実関係に立脚し、次に除名事由の存否を検討する。

(一)  先ず被告は除名理由第一点として、原告が昭和三六年四月の全国大会の決定を不法不当と主張し、旧関東支部の資産引継ぎを実行せず、さらに旧支部資産の預託先である労働金庫新橋支店を再三にわたり訪れてその一方的見解を説明したと主張する。

〈証拠〉によれば、原告はこの全国大会における旧関東支部改組の決定につき次のように述べたことが認められる。

すなわち原告は昭和三六年四月二三日の全国大会の席上において「支部組合員多数の意見に反し、内容的にもどこをどう改めるのか判らない疑問だらけの規約改正案を、ただ多数にまかせて採決すればそれですむというのは規約そのものの無視違反であつて、支部執行委員会としてはこの採決が不当無効であることを明らかに留保する。ただその点をあくまでも留保した上で、組合内の混乱、分裂を避け組織を守るために、実際問題としては、われわれは関東支部を解体する方向で事態を処理するのが現在の場合ただ一つの方法だと考えるので……」と発言し、同年六月三〇日の支部執行部総辞職に際し「いまわれわれが総辞職するということは、具体的な意味としては関東支部の資産業務の引つぎを支部執行委員会としては行なわないということであります。本部執行部の規約も道理も顧みない暴力的な態度のためについにこのような道を選ぶほかなくなつたことを、われわれは心から遺憾に思います。さきの全国大会ののち、われわれは関東支部解体の決定が規約に反し組合民主々義を無視する不法不当なものであることを留保しつつも、実際問題としては、組合内のこれ以上の混乱を避けるため支部を解体する方針をとり」支部規約にもとづく正当な方法でそれを実行しようとして、本部執行部と話し合いを続けてきました。」との見解を発表し、同年一〇月四日には前記「みらい」の紙上で「関東支部に関する全国大会の決定は本質的に社側の不当な干渉によるものであり、大会審議の実情や決定の内容からいつても規約に反し無効なものとわれわれは考えるが、大会の席上でも述べたように、その点は今後に保留し、事実問題としては組合内の混乱を避けるために関東支部を解散する方向で当面の事態を収拾する方針である。そのため支部規約にもとづき解散のための臨時支部大会を開き、そこで組織の変更や資産の処理などを決めた上で整然と引き継ぎを行うことにした。」と主張した。この他、原告の労働金庫新橋支店での発言については既に認定したとおりである。たゞ証人森永和彦の証言によれば、原告が同支店で引き継ぎを次の全国大会まで是非延ばしてもらいたいが、場合によつては法的手続をとり或いは機関紙に書きまくる旨述べたとの部分があるが、同証言中の右部分は伝聞であり、他にこれを明確に裏付ける証拠もないことからそのまま採用できない。

しかして、原告の前記一連の発言はその内容において趣旨一貫していることに徴すると、原告のこの点についての発言は右以外の機会になされたものも常に右の限度の内容に止まるものと推認するのが相当である。

しかるところ、組合の正式の機関が行つた決議や決定に対しそこに属する組合員が批判を加えることは、労働組合としての性格上一定の制約があると解すべきではあるけれども、原告の右一連の言辞はいずれも大会決定を非難したものであるが、それはあくまでも原告がこの問題についての自己の信念を組合内の正規の場で正当な手続を踏んで発表したものであるし、その他右以外の機会に同旨の発信をしたとしても、このような形で発表されたものの繰り返えしであり、原告の右発言は、所詮は組合大会の決定に従つた処置をとるというのであるから、これにより組合の組織統制に著るしい害をもたらすものと考えられないので、原告の発言中前記大会の決議が違法不当であるとの趣旨の発言は前記制約内に止まるものというべく、従つてこれらは組合員の正当な言論活動として当然許容されるべきものである。

次に旧関東支部資産の引き継ぎ拒否の点であるが、原告はその本人尋問において資産の引き継ぎができなかつたのは第一に労働金庫の態度によるものであるかのような供述をしており、たしかに同金庫の態度が引き継ぎを困難にしたことの主要な要因であることはこれまでの認定事実からも明らかであるけれども、前認定の事実から見れば、本部への資産引き継ぎができなかつた最大の理由は、原告が元来旧関東支部の資産引き継ぎについてはそれを可とする支部大会の決議が必要であるのに、その大会がない以上本来は資産の引き継ぎをすべきでないとの見地に立つて、労働金庫に対しても、資産引継に関する支部大会はないこと、旧関東支部の委員長たる原告が資産引継に関する書類に判を押すのは本来はなすべからざることをするのだという態度を示したことにあるというべきである。

原告がかかる態度を示した以上、同金庫も資産引継の承認に躊躇するのも当然であるから、同金庫の前認定の態度は、いわば資産引き継ぎを困難ならしめた第二次的原因というべきである。

ところで、原告が本部執行部の意向に従い資産の引き継ぎをするためには、これらの資産が旧関東支部組合員の納入した組合費から拠出されている以上、同組合員の意向を徴した上でこれを行うのが建前であると考えて、本部執行部に対しそのための関東支部大会を開催することを求めていたが、本部執行部がこれを拒否したため資産処理に関する旧関東支部の大会がなかつたことは前認定のとおりである。

そこで原告のこのような態度、見解の当否を考える。

旧関東支部の資産は、前説明のとおり、何よりも拠出者である支部員のために支部の活動を通じて支部員の労働条件の向上に資すべき目的のため管理さるべき財産であり、その運営管理は支部の自治に委ねられていたのであるから、その管理責任者として原告が、右支部財産の処分について拠出者である支部員の意向を聞くべきであると考えたことは極めて当然であつたというべきである。

なお、前述の規約改正を決議した組合の全国大会の決定があつたことは右の点について変更を及ぼすべきものではない。けだし右決議は規約改正前の支部財産について何ら言及していないばかりでなく、被告組合の規約上全国大会の決議をもつてすれば、拠出者たる支部員の意向を無視して支部財産の処理を決定することができることを窺わせる規約はないからである。

原告のかかる意見に対し本部執行部は規約改正により既に旧関東支部は改組されて存在しないとの理由からその開催に強く反対したのであるが、これはあまりに形式論である。

旧関東支部が労働組合の一支部であつて、組合の最高機関である全国大会の決議によりその構成員である支部員が分れて二つの組織に組み入れられ、爾後規約上存在しなくなつたとはいえ、旧関東支部が独自に管理できる財産を有し、しかもその財産は専ら旧支部員のために使用さるべき目的拘束を受けている以上、右の規約改正後も、旧関東支部はその財産の清算の限度において存在をつづけるものというべきである。

その上このような場合に行なわれる支部財産の清算については、何よりもまず、その拠出者の意見が尊重されるべきは本部費と支部費とを別個に支払う組合に加入する者の意思にそうものと考えられるから、旧関東支部の資産処理を目的とする支部大会の開催に反対する本部執行部の言い分は納得しがたいものがある。

ただ、新しく生まれた関東支局支部(支部員約四〇人)が旧関東支部の財産につきその管理を本部へ移すことを決議しているが、この決議は拠出者の一割にすぎない者の決議であるから(旧関東支部員中新しく本部直轄班に属することになつた組合員は約四〇〇人)、右決議があつたからといつて原告の右のような主張を排斥することはできない。もつとも、旧関東支部員の意向を徴するといつても、必らずしも支部大会を開かねばならない理由はなく、これ以外の方法によりその意思を確認することもできた筈であるが、本部執行部がこの点を指摘することなくかたくなに原告の主張を拒否したこともあつて原告ももつぱら支部大会の開催に固執しすぎたきらいがあるが、いずれにしろ原告の主張する支部組合員の意向を徴するという見解はもつともなもので、そのために支部大会を開くということは組合運営の常識上最も適当な手段であるから、本部執行部がこの大会の開催を拒否しながら原告が支部財産の引き継ぎに応じなかつたことをもつて、原告の一方的責任であるときめつけることは決して妥当ではない。

次に原告がその見解を組合機関紙「みらい」に掲載することを条件として本部執行部に資産引き継ぎをすることを約し、この条件が満たされたのに、労働金庫に対する資産関係だけは引き継ぎができなかつたことは前認定のとおりである。

右の約束は、原告において労働金庫側に対しても、資産引き継ぎが円滑に進むような態度をとることを約したものと解するのが通常であるから、原告が前認定のように、労働金庫側に対し、本来は支部大会の了承を得て資産の引き継ぎをすべきであるが、かかる支部大会はない旨を述べたことは、本部執行部に対する約束違反と評価されるべき面を持つことは否定できない。

しかしながら、原告にとつては、旧関東支部員の拠出した資産の管理責任者としての規準に従つて行動することが組合員として第一義とされるべきであるから、本部執行部としても原告の前記行動を非難することはできない。

以上のような観点から見ると、原告の資産引き継ぎをめぐる行動は全体的に見れば、あくまでも旧支部委員長の立場から首肯しうる論拠をもつものであるから、その限りにおいて原告の所為は組合規約第五八条にいう組合規約に違反し、統制を乱す行為に該当すると解することはできない。

(二)  被告は除名理由第二点として、原告が昭和三七年二月一七日の中央委員会決議を不当であると非難し、更に原告についての制裁事実の存否を調査するために設けられた調査委員会を理由もなく忌避したと主張するところ、原告が右決議を非難したこと、その非難の内容と非難事実の存否および原告の忌避については先に認定したところである。

そこで検討するに、先に認定したように中央委員会の招集に際し本部執行部が配転された中央委員三人の資格喪失を確認する前に後任者を選出するよう指示したが、中央委員会の席上配転者の資格喪失を確認しており、更にこれら前任者三人及び新しく選出された後任中央委員三人を除いて一一人の中央委員が出席しておりその定足数を充足していたのであるから、この点については原告の主張する違法はない。ただあらかじめ後任者の選出を指示したことは本来規約の予定している手続順序からすればたしかに行き過ぎであるが(配転を受けた中央委員を含めてその配転の当否を決議するのが規約の趣旨であると解すべきである。蓋し配転を受けた中央委員は配転による資格喪失を確認する中央委員会の決議があるまで、その資格を失わないのであるから、その者に対する中央委員会への招集を省略できる根拠はない。執行委員会が中央委員会の右の決議前に後任の選挙をさせてしまうことは、特に規約上中央委員会に右の認定権を留保した趣旨を失わせるものである。)、実際問題として中央委員会が全国各地の中央委員を集めて開催されるものであり、中央委員もその選出母体に対し報告する要があることに徴すると、予め後任者を選挙させたことも便宜上の問題としてうなづけないではない。しかも、この事前の後任者選挙により選出された新中央委員になるべきものが前任者の資格喪失前に審議に参画したわけではないから、これは中央委員会の決議自体の瑕疵にはならない。ただ組合運営のあり方の問題として組合員の一部に規約無視であるとの疑惑を与えるようなやり方で後任者の選出を指示したことは本部執行部の手落ちであることを否定し難い。

次に中央委員会の決議自体は必らずしも原告を非難することを直接の目的とするものではないこと前認定のとおりである。又決議文中に「田島旧関東支部委員長の見解および発言は全国大会の決定に反するものである。とくに(一)全国大会の決定が規約違反である。(二)関東支部大会を経てはじめて本部に引き継がれるとの見解は組合規約を踏みにじるもので組合員の立場をいちぢるしくいつ脱しているものである。」との文言が存するが、このことから直ちにこの決議を原告に対する制裁であるとみることはできない。その意味で原告の弁明をきかないで決議を行なつたことに手続面で規約上の瑕疵があるとはいえないから、原告の弁明をきかずにこのような決議をしたのは不当であるとの原告の主張は当をえない。

また右の決議に際しての本部執行部の経過説明並びに資料提供がどのような形でどの程度に行なわれたかは必らずしもはつきりしないけれども、中央委員会の審議の仕組については規約上も格別の規定はないのであるから、その審議、運営の仕方は当該委員会の自由な裁量に任されているというべきところ、右中央委員会が常識的にみた労働組合中央委員会のあり方というものから甚だしく逸脱して不当な手段方法で審議をし、決議に至つたというような格別の事情でもあればともかく、前記のように審議方法、資料内容等については証拠上明確でないとはいえ、前掲乙第六号証によれば三人の中央委員が決議に反対し、また原告に弁明させなかつたことに遺憾の意を表わしたことが認められるものの、審議及び決議自体は平穏のうちにすすめられたことが推認されるからこの点についての原告の主張は理由がない。

最後に原告は決議の内容も組合民主々議に反する不当なものであると主張する。しかしてこの決議には前記のように原告の行為に触れた部分があり、原告としてはこれまでとつてきたその態度見解からしてこの部分の表現に不満を覚えることはやむをえないと考えられるところ、原告のこのの態度見解にはそれなりの合理性があることは前記認定のとおりであるから、これを一方的に非難するような表現を用いたことは客観的な事実関係からしても妥当でなかつたというべく、この点を看過した本件決議を原告が非難したことは必しも不相当とはいえないところである。

そこで、原告の行なつたこれら中央委員会に対する非難が除名理由に該るか否かを検討する。

先にも触れたように労働組合の組合員は組合内部における言論活動につき、その組合統制の点からある程度の制約をうけるものと解すべきであるが、正式の機関決定に対する批判であつても、それが故意に事実を歪曲して組合組織ないしは組合活動の混乱を目的とするものでない限りは自由に行ないうるものというべきところ、原告の行なつた右非難中、右決議の内容に関する点はこれまで認定してきたように原告が旧関東支部の執行委員長として支部財産を管理する立場上同支部大会の開催を要求したことは正当な態度と考えられるから原告が右中央委員会の決議を非難したことを不当とすることはできないし、原告が非難した後任中央委員の選挙については本部執行部にも手落ちがあつたわけであるから、以上の点の非難はそれなりに首肯しうる。ただ、その余の非難については中央委員青木十三夫からの情報によつたものではあるが、その非難は的はづれで軽卒のそしりを免れない。

しかし、このように原告の行なつた右非難の一部には事実を誤認した部分もあつたものの、結局は組合内部が孤立した原告がその所信を吐露したものであるとみるべく、前記要件からしても決してその枠をこえるものではなく、言論活動の行き過ぎとは断定できない。とすれば原告のこの非難行為は組合規約第五八条の「組合の規約に違反し、統制をみだす行為をなし、あるいは組合の名誉を毀損」するものではないというべきである。

また原告が調査委員会を忌避したことも除名理由となつている。

しかし、規約上忌避申立権なるものが定められていなくても、およそ一つの組織内で制裁をうけようとする場合に、被制裁者が制裁手続に関与するものが自己に不利な判断をする虞れがあると考えたときそのようなものによつて審理判断されることを避け、他のものにより公正に審理判断をしてもらいたい旨主張することは当然認められるべきである。しかるところ〈証拠〉によれば、調査委員に選任された四人が従前より組合活動の面において原告とその行き方を異にし、原告を急進的すぎると批判してきたものであることが認められる。このような事情からすれば、申立の当否はともかくとして、被制裁者たる原告が調査委員の公正につき疑念を抱いたとしてもある程度やむをえないところで、これを責めることはできないところである。ただこの申立の当否につき一考すれば、先に認定したように組合はこの調査委員の選任については特に配慮した結果、組合三役を歴任した組合員をもつてこれに充てることにしたが、この該当者九人のうち五人が辞退したため、やむなく残つた四人を委員に選任したのであつて決して故意に原告に対し批判的な立場をとるもののみを選んで調査委員会を構成したわけではないのであるから、本部執行部が故意に不公正な人選をしたとは認め難く、同時に原告の主張する事実のみから直ちに右委員が故意に不公正な判断をするものとはきめつけ難いところである。

しかしいずれにしてもこの場合の原告の所為は正当な権利行使であつてこの点も組合規約第五八条には該らない。

(三)  被告は除名理由第三点として、原告が本部執行部及び調査委員会を告発したことをあげる。しかるところ、これをめぐる経緯については先に認定のとおりである。

しかして組合規約第六一条によれば組合員は組合員で組合規約に違反し、統制をみだす行為をし或いは組合の名誉を毀損したものを告発しうることを予定しており、その限りにおいて右は組合員として規約上認められた権利の行使であつて、これを不当視することはできない。ただ本部執行部はこの告発は組合員個人ではなく組合組織そのものを対象としたもので組合規約も想定していないところで、これは述く開かれる予定の中央委員会の正常な運営を乱すものであると結論したのであるが、原告の提出した告発の書面(甲第一一四号証)によると、告発内容はたしかに本部執行部及び調査委員会の活動に対するものではあるが、被告発者はあくまでも組織そのものではなく本部執行部と調査委員会の各構成員を対象としているのであつて、決して組合の組織そのものを告発したわけではない(ただ原告の事実の認否では本部執行部を告発したことを認めているが、前記書証からこのように認定するものである)し、また右告発が昭和三七年四月六日に開かれる中央委員会の直前に行われたことはその主張どおりであるが、原告が実際に右中央委員会を混乱させる主観的意図を有していたか否かはこれを直接明らかにする証拠はない。

ただ告発が規約上認められた組合の権利であつても、これが野放図に認められるものでないことは一般の権利と相異するものではない。

そこで告発の内容について検討してみるに、後任中央委員の選任問題と定足数の点は先に認定のとおりであり、これについて原告の指摘にも拘らず本部執行部が是正措置を講じなかつたのは、結局中央委員会が配転を受けた中央委員の資格喪失を事後的に確定させてしまつて、後任の中央委員の選出が無効といえない以上当然である。また四月六日の中央委員会に際し前回同様の形で後任中央委員選出の指示をしたかどうかについては証拠上この告発事実を認めるに足りる証拠はない。更に中央委員水野、浅野の両名が前記中央委員会の規約違反につき是正措置をとらなかつたとするが、この点につき本部執行部にも規約上責められるべき点がない以上(組合運営の問題として手落ちがあつたことは先に説示のとおりである)右両名には責任がない。最後に原告の二回にわたる忌避に対し中央委員会が理由を説明せずに却下し、更に調査委員会はこの申立にも拘らず調査活動を停止しなかつたことは既に認定のとおりであるが、この忌難の理由のないことは先に明示のとおりであるし、忌避申立に際し被申立人がその活動を停止せねばならない必然的理由はなく、規約上にもそのような規定はないのであるからこの点につき調査委員会構成員を責めることはできない。

とすれば本件告発はその内容自体理由のないところであるが、ただこのうちいくつかの点については原告がこのように思料したことについては全く根拠がないわけではない。即ちこれまで繰り返えし認定してきたように、後任中央委員の選挙については本部執行部に手落ちがあつたし、その意味で、原告が是正勧告に及んだことも理解できないではなく、又忌避の申立にしても原告の立場からすれば一応の理屈があつたけれども、本部執行部は格別の考慮をせずに軽く処理したために、前記のように組合内で孤立した原告に一層不信の念をつのらせたきらいがあることに徴すると、これらの点については原告がこの被告発事実が存すると信じたとしても不思議ではない。またその余の告発事実は原告の誤認や早計な判断にもとづくものであつて結局理由がないのであるが、さりとて、原告が故意に根拠のない事実をねつ造して告発を行い、被告発者ないしは組合組織に打撃を与えようとしたとまで認められるわけでもない。たしかに第三者からすると、原告の告発に至るまでの一連の行動はいささか執ような感じがしないではないけれども、しかし原告としてはこの告発によりあくまでも自己の立場を正当として強調し、前記被告発者の組合規約違反を責めようとしたものであつたとみるべきである。とすれば、原告としてはこの告発を組合規約第六一条にあたるものと思料し、その権利行使として行つたものであることが認められるので、本件告発が規約第五八条所定の事実に該当するとの認識はなかつたものというべきである。従つて右原告の所為も除名事由には該当しない。

九、結語

以上判断のとおりであつて、組合が原告を除名した理由として挙げる諸事実はいずれも組合規約第五八条に該当しない。とすれば除名理由の存在については除名処分を行つた被告において主張立証すべきところ、その事実が認められないのであるから、もはや本件除名処分が組合の組織統制権の濫用として無効である旨の再抗弁につき判断するまでもなく、組合の原告に対して行つた本件除名処分は無効であるというべく従つて原告は依然として被告の組合員である。とすれば原告の本訴請求は理由があるので、これを正当として認容することとし、民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(大塚正夫 小笠原昭夫 宮本増)

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